調査実施の概要

  • 目的:住宅の一次取得層として団塊ジュニアを中心とする20・30代の来場者がメイン ターゲットになりつつある。 本調査は20・30代の来場者を対象とし、親からの援助や親への依存度を中心と する住宅計画の実態と、住情報の収集活動や総合住宅展示場及び営業マンへの評 価・要望などを把握することを目的として実施した。
  • 内容:回答者のプロフィール。住宅計画について。住宅に関する情報収集について。住宅ニーズと親子同居について。総合住宅展示場について。住宅性能表示制度について。
  • 対象者:北海道、関東地区、中部地区及び近畿地区に所在する総合住宅展示場を訪れた20・30代の来場者(一世帯1人対象)。
  • 方法:上記対象者に総合住宅展示場への来場時にアンケートを依頼し、帰宅後に直接記入していただき、後日郵送にて回収。
  • アンケート依頼数:約1,792票
  • アンケート総回収数:710票、内、有効回収数:696票 (有効回収率 約38.8%)
  • スケジュール:アンケート依頼期間2006年9月16日〜9月24日 (調査票の回収が予想をはるかに上回ったため、配布は2週間で打ち切り)、回収期間2006年9月18日〜10月23日、集計期間2006年11月1日〜11月10日、分析期間2006年11月13日〜12月4日
  • 調査主体:住宅生産振興財団、住宅展示場協議会


調査結果の特徴と要約

20・30代の来場者を対象とした本調査の特徴は以下のように整理できる。

  1. 回答者は団塊ジュニアが中心
      本調査の対象者は20・30代であるが、実際に回答いただいたのは30代前半を中心に、25歳から34歳の人が全体の63%を占めており、団塊ジュニアが中心層となっている。また、20代と30代の比率はほぼ1:3の割合であるが、これは来場者全体の来場比率を反映している。
  2. 住宅需要者としての質は高い
     団塊ジュニアを中心とする20・30代の若い来場者であるが、世帯年収は平均670万円と高く、貯蓄実践者の中の77%は住宅資金を目的として積み立てをしている。また、住宅計画は具体的検討段階に進んでいる人が全体の44%を占めており、住宅展示場にとってはホットな来場者が非常に多い。
  3. 土地の確保がキーポイント
     20・30代の来場者は、借家住まい(61%)が多く、まだ土地を確保していない(56%)人々も多い。 このため新築計画を実現するためには、まずもって土地の確保が条件となる。 しかし、土地保有者においては、自分で購入した土地(44%)の他、親など親族から相続・相続予定の土地に家を建てようとしている人が55%に及んでいる。
  4. 親への依存度が高いのが最大の特徴
     親への依存度が高いことを裏付ける調査結果としては、次の5点があげられる。
    ・「親など親族から資金援助が得られるようになった」ことを住宅計画の動機とする人が41%にのぼる。
    ・土地保有者の中の55%は「親など親族から相続予定(相続済も含む)の土地」での住宅建築を予定している。
    ・住宅建築のための自己資金として「相続・贈与金、親からの援助」を予定している人が47%と約5割を占める。
    ・住宅計画は「親と一緒あるいは親の意見を参考にしながら進めたい」とする人が75%にも達している。
    ・すでに、住宅計画について「親に相談」した人が52%と過半数を占める。
  5. 親からの資金援助者は、住宅計画が具体化しているケースが非常に多い
     住宅計画の進行段階を、初期段階(ばく然と)、具体的検討段階及び契約・購入済の3段階に分けると、「相続・贈与金・親からの援助」予定者では30:60:10、「相続・贈与金、親からの援助」予定者以外では63:30:7の割合であり、その差は歴然としている。土地も含めて親からの資金援助があるか否かが、20・30代来場者の住宅計画の進行を左右する大きなポイントになっている。
  6. 親から資金援助を予定している人は多いが、同居予定者は少ない
     上記のように20・30代の来場者は、親からの資金援助を予定している人が約5割に達しており、全体的に親への依存度が非常に高い。反面、親と同居したいと考えている同居派(既同居及び将来同居予定)は26%と少ない。親と同居する予定はないが、住宅資金の援助は予定している人が多いことがうかがえる。
  7. インターネットが第2の情報源に
     住宅情報の参考媒体としては、住宅展示場(92%)を挙げる人が最も多いが、これに次いで利用者が多いのはインターネット(67%)である。しかも、インターネットによる住情報利用者は年々大幅に増加しており、住宅展示場に次ぐ第2の地位を確保しつつある。
  8. 資料等の送付はOK、電話や自宅訪問はNO
      モデルハウス見学後は、多くの来場者が住宅会社から事後アプローチを受けている(70%)が、このことに関しては、手紙や資料の送付はかまわないが、電話や自宅訪問は好ましくない、といった見解が大勢である。直接接触されることには拒否感が強いため、事後アプローチの方法には配慮が必要となろう。


1.回答者のプロフィール

  • 回答者の年齢:20代24%、30代76%
  • 回答者の続柄:世帯主本人39%、世帯主の配偶者53%
  • 回答者の性別:男性40%、女性60%
  • 回答者の結婚の有無:既婚者90%、未婚者10%
  • 世帯主の職業:会社員76%、公務員10%、会社・団体役員5%など
  • 配偶者の職業:有職者32%、専業主婦・無職59%
  • 家族構成:夫婦のみ11%、核家族75%、二・三世代10%。家族人数は、2人12%、3人35%、4人37%、5人以上13%。子供の人数は、1人34%、2人37%、3人以上7%。
  • 現住居の内容:持家26%、親の持家に同居13%、借家61%。持家の取得方法は、自分で購入85%、親など親族から相続11%
  • 世帯年収:300万円未満4%、〜500万円未満28%、〜1,000万円未満55%、1,000万円以上11%、(平均670万円)
  • 貯蓄と目的:貯蓄実践者が92%。貯蓄目的は住宅資金(77%)と教育資金(71%)が中心

2.住宅計画について

  • 住宅計画動機:借家なので57%、子供の成長48%、親から資金援助41%が三大動機
  • 計画の進行段階:初期段階48%、具体的検討段階44%、契約・購入済8%
  • 実現予定時期:1年以内24%、2年以内19%、2年以上先・未定49%
  • 住宅計画形態:建て替え15%、買い替え8%、新規建築51%、リフォーム6%など
  • 住宅利用形態:一世帯専用住宅65%、二世帯同居住宅24%
  • 土地保有状況:ある44%、ない56%。土地保有者における所有形態は、自分で購入した土地44%、親族から相続及び相続予定の土地55%
  • 建築予算:2,000万円未満38%、2,000万円台33%、3,000万円以上15%、(平均2,287万円)
  • 資金計画:自己資金派9%、自己資金中心派19%、借入れ中心派57%、未定16%
  • 自己資金:預貯金84%とともに、「相続・贈与金・親からの援助」(47%)が多いのが特徴。「相続・贈与金・親からの援助」は住宅資金の一部(53%)という人が多い
  • 建築依頼先:大手住宅会社42%、中小の住宅会社13%、未定45%
  • 検討重視点:保障・アフターサービス70%、建物の品質・基本性能68%、会社の実績・信頼性66%がベスト3
  • 親の意見・アドバイス:共同推進派12%、意見参考派62%、意見非参考派18%

3.住宅に関する情報収集について

  • 住情報参考媒体:住宅展示場(モデルハウス)92%、インターネット67%、折込チラシ63%がベスト3
  • 相談相手:プロ以外での相談者としては、親52%、新築経験者35%が中心
  • 関心ある情報:間取り・設計情報69%、家づくりの基礎知識64%、保証・アフターサービス情報55%、デザイン情報53%、欠陥住宅・トラブル情報51%がベスト5
  • インターネット:各種ホームページの利用率は、住宅会社のホームページ75%、住宅展示場のホームページ45%、住宅専門サイト(総合検索エンジン系)43%がベスト3。インターネットで実際に調べた情報は、住宅会社情報44%、不動産・土地情報41%、家づくりの基礎知識40%、住宅展示場の情報32%をはじめ多種に 分散

4.住宅ニーズと親子同居について

  • 住まい感:支持率(そう思う)が高いのは、ぜひとも自分の家を持ちたい(86%)、家族の ふれあいスペースを充実(85%)、住み心地のよさを優先(80%)、基本構造のよさを優先(78%)の4項目
  • エネルギーシステム:検討意向率は、オール電化住宅57%、IHクッキングヒーター52%、エコキュート50%、ガスコージェネレーションシステム16%。オール電化住宅の魅力点は、安全性72%、掃除が簡単55%、経済性52%が中心
  • 親との同居:同居派26%、別居派43%、未定派30%。同居予定の親は、世帯主の親65%、配偶者の親30%。同居理由は、親の老後の面倒をみるため(67%)が圧倒的

5.総合住宅展示場について

  • 訪問回数:今回が初めて17%、2〜3回33%、4〜6回25%、7回以上24%(平均5.2回)
  • 魅力点:一度に複数のモデルハウスを比較検討(71%)と、実際に建物を見て実感(70%)が中心。
  • 営業マンの説明評価:事前期待度が高いのは、自社住宅の内容と技術的説明であり、この説明に関しては満足度も高い。対して、見積り相談、資金計画及び設計相談などは満足度よりも不満度の方が高い
  • 接客不満点:すぐ名前や住所を聞こうとした30%、見学者によって対応が異なる22%、自由に見学させてくれない20%など
  • 平均滞在時間:モデルハウス1棟当り20〜30分程度を中心に平均32分
  • 観覧の参考度:「参考になった」が90%と圧倒的
  • 見学後のアプローチ:連絡・アプローチを受けた人は70%。受けた方法は「ハガキ・手紙・資料の送付」88%、電話67%、自宅訪問44%
  • 展示場への要望:総合案内機能57%、託児コーナー・子供の遊び場51%、住設・家電・インテリアの展示44%など。モデルハウスへの希望は、現実的な規模のモデルハウス79%、価格・仕様内容の表示70%が中心

6.住宅性能表示制度について

  • 認知度:名称認知者55%、うち内容認知者25%
  • 利用意向:利用意向者43%、非利用意向者8%、わからない50%
  • 防犯性能:防犯性能が追加されたことへの関心度は、関心がある85%、関心がない15%